ここから本文エリア 県の原発防災計画、国より厳しい内容 複合災害に不安も2011年3月17日 福島第一原発の危機拡大で、住民の避難区域や屋内待避区域も拡大した。15基の原発を抱える福井で同様のことが発生したらどうなるのか。県や、原発が立地する嶺南の市町はどう対応するのか。原発事故時の防災計画は十分か。現状をおさらいする。 ■災害時の退避人口、「20キロ圏内」で大幅増 原子力災害についての県の防災計画は1969年、日本原子力発電の敦賀原発1号機の営業運転開始を前に、「原子力防災計画」として地域防災計画に盛り込まれた。以後、高速増殖原型炉もんじゅのナトリウム漏れ事故(95年)や新潟県中越沖地震(07年)などを踏まえ、改定を重ねてきた。 県内での退避はどうなるのか。 原発からおおむね10キロ以内のモニタリングにより、予測される線量が(1)5〜10ミリシーベルトで屋内退避、(2)10〜50ミリシーベルトでコンクリート建屋内への退避、(3)50ミリシーベルト以上で(1)以下の場所への退避を実施するとしている。国の防災指針が10〜50ミリシーベルトで屋内退避、50ミリシーベルト以上でコンクリート建屋内への退避としているのと比べて、より厳しい内容だ。 ただ、重点対象は国の指針に従い、原発から「おおむね半径10キロ」圏内の地域にとどまる。該当する地域の人口(07年度末)は最も少ないもんじゅ周辺で3196人、最多の大飯原発周辺では2万3608人にのぼる。今回の福島第一原発のケースは従来の指針を大きく超え、半径20キロ圏内が避難、30キロ圏内が屋内退避の対象となっており、対象人口はさらに増えることになる。 このため西川一誠知事は15日、「地震の大きさや想定によるが、今回の地震を見ると避難態勢のいろんな見直しが必要だ」と防災計画の改定に言及。県原子力安全専門委員会の中川英之委員長も16日、県庁で開かれた会議で、若狭湾周辺の住民避難について「避難ルートの確保や周辺道路の整備を含め、原子力防災計画の見直しは必要だ」と述べた。 ■住民の安全を最優先 計15基の原発が立地する嶺南地方の4市町は、放射能漏れや被曝(ひばく)など原子力災害に備えた防災計画を定めている。広報誌やケーブルテレビを通じた情報発信に積極的に取り組むほか、防災ラジオやパンフレットを各世帯に配るなど、対策を周知させる工夫もみられる。 美浜町は全世帯に、被曝対策や避難方法をイラスト付きで説明した冊子「原子力防災のしおり」を配っている。地区ごとの避難所(木造、コンクリート造りを区別)と連絡先の一覧表もついている。 「地元」だけに、各自治体とも住民の安全対策を最優先に取り組む意識は高い。一方で、東日本大震災のように、地震や津波を加えた複合的な原子力災害が起きた場合、原発事故に特化した現行の計画が機能するのか、不安視する声もある。 例えば、県内の各原発に通じる道は、山を切り開いて造った道がほぼ1本あるのみ。放射能漏れ事故が起きても、土砂崩れなどで原発周辺の住民が避難路を断たれる可能性は大きい。敦賀市の市民防災課の担当者は「複合災害の場合、コンクリート造りの避難所で放射能を避けながら救助を待つ以外ない。改めるべき点は多いだろう」と話す。 国の防災指針における放射能漏れ事故時の避難対象地域は発電所の周囲10キロ内で、各市町も10キロ内で計画をつくっている。対象者は敦賀市約1万7500人、美浜町約3200人、おおい町約5800人、高浜町約1万1千人。いずれも市街地を含み、高浜町は全域で重なる。大飯原発に近い小浜市も、約1万6千人が対象になる。 福島第一原発の事故を省みて、今後、避難の基準や対象地域が細分化、拡大化される可能性は高い。対象地域が半径20キロ内に拡大されれば、原発のない小浜市さえも、市内全域の約3万1千人に影響が及ぶことになる。(笹川翔平、岡野翔)
マイタウン福井
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