ここから本文エリア 現在位置:asahi.com> マイタウン> 神奈川> 記事 就活神話、川崎の写真館 撮る前面接・履歴書に説教2010年9月2日
就職活動中の学生にとって、履歴書用の写真をどこで撮るかは関心事の一つだ。東京・新宿の「伊勢丹写真室」は有名だが、全国から学生がやって来る写真館が川崎市高津区にもある。12年前、長女が民放4局の入社試験で書類審査を通ったことが評判になり、合格神話が続いている。 1941年創業の「写真のたなかや」は、東急田園都市線高津駅から徒歩5分、高津警察署の近くにある。2代目の鈴木克明さん(65)が、妻寄里枝(よりえ)さん(64)と営む。就職試験の合格神話は、写真館の実力を試したいと考えた寄里枝さんの一言がきっかけだった。 「女子アナウンサーの入社試験なら、書類審査で証明写真が大きなウエートを占めるはずだ」。そう考えた寄里枝さんは1998年1月、大学3年生だった長女の浩永(ひろえ)さん(34)に在京の民放2局、名古屋市と広島市にある地方局を受験させた。 浩永さんは4局すべての書類審査に合格し、「たなかや」はテレビ番組で取り上げられて評判を呼んだ。新聞記者志望だった浩永さんは面接試験でテレビ局は落ちたが、業界紙に就職。テレビディレクターと結婚し、今は2児の母親だ。 「たなかや」の合格神話は、その後も続いた。履歴書写真を撮った慶応大の男子学生がアナウンサー試験に合格したり、専門学校生もテレビ局に入社したりと、口コミで評判が広がった。今でも年間約4千人が証明写真を撮るため、全国からやって来る。 「たなかや」の特徴は、写真を撮る前に寄里枝さんの「面接」があることだ。「どうして、この会社を選んだか」「あなたは何をやるのか、やれるのか」などと質問される。最初は「余計なお世話だ」とぶぜんとしていた学生たちも、最後には履歴書そのものを開いてみせる。 そこで、寄里枝さんは「字がきたない、的を射た志望動機がない」と説教をする。そんな客からは「就職決まりました。人生で一番いい表情の写真です」「大学院に合格しました。ネクタイを締め直してもらって自然に撮れた」などと手紙やメールが届く。 証明写真の極意を聞いてみた。寄里枝さんは「『たなかや』で撮れとは言いません」と笑いながら、「他人に撮ってもらうこと、明るい写真館を選ぶこと、美容師の資格を持っているスタッフが常駐していること、急ぎの写真にも対応できること」と言った。(小森谷清光)
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