ここから本文エリア 柔らかく支え合う 子どもから高齢者まで集える場 田野2011年4月15日
年齢や障害の有無を問わず、誰でも集える場が田野町にある。幼児や高齢者が思い思いに時間を過ごし、午後には学校帰りの子どもたちの歓声が響く。発達障害や引きこもりで悩んできた人も「環境サポーター」として、掃除や高齢者の話し相手で活躍。互いに支えあう柔らかい関係が生み出されている。 「なかよし交流館」と名付けられた施設は木造平屋建てで、大広間と和室2間、トレーニング機器を備えた多目的ルーム、風呂場などがある。介護予防施設であり、子どもたちの一時預かり施設でもある。 富山市に開かれた「このゆびとーまれ」を参考に、保健師の広末ゆかさん(50)らが町に開設を提案。2003年から運営が始まった。「誰でも集える」「役割がある」「できることを認め合う」「できることから始めよう」がモットーだ。 高齢者15人ほどと、幼児や児童数人が朝から夕方まで有料で利用し、看護師と作業療法士、ヘルパーらが常駐。学校帰りの児童らは自由に出入りする。洗濯物干しや料理を手伝ったり、子どもを見守ったり、子どもが高齢者の車いすを押したりして支え合う。 3月下旬のある日の午前中、大広間ではお年寄りが談笑し、隣の畳部屋では2歳の子どもがおもちゃで遊んでいた。決まった時間割りはなく、窓際で昼寝している高齢者もいる。お昼ご飯を作るのはご近所のボランティアだ。 午後1時過ぎ、保育園が終わった園児がやって来て、おもちゃで遊んで室内を駆け回る。体操をしている高齢者のところに行き、園で習った歌をさっそく合唱し、拍手を受けた。 ほぼ毎日通っている女性(84)は「知らん人ばっかりでも、一緒におったら話がおうてきますやろ。うちにおったら話し相手ないし」。水曜日に来ている女性(80)も「みんなで話したりゆっくりしたり。それがいい」と話した。 医師が在宅生活は無理と判断した認知症の高齢者が交流館に通い、3年間在宅で過ごせたこともある。神経の難病を患った夫妻も亡くなる直前まで通った。「自分らしく過ごせるゆったりとした時間がいいのかもしれない」と広末さん。 障害がある人らも「環境サポーター」で活躍。敷地の草抜きや館内清掃、高齢者の話し相手などを自分のペースで務め、給料は1日500円だ。高校卒業後、就職がかなわず自宅にこもっていた男性(27)も環境サポーターだ。「次の一歩にと通い始めた。年齢がまちまちで難しい面があるけど、いろいろな人と接することで働く土台になると思う」と話す。引きこもりだった20代の女性も少しずつ人と接することができるようになり、パートタイムで仕事を見つけて巣立った。 広末さんは「地域福祉には住民参加が必要。いつまでも行政主体でなく、民間と行政が協働してどう進めていくかを模索したい」と話した。(前田智)
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