ここから本文エリア 苗場12年目、ファンと地元に絆 フジロック30日開幕2010年7月30日
「フジ・ロック・フェスティバル’10」が30日から8月1日まで、湯沢町の苗場スキー場で開かれる。延べ12万人を集める国内最大級の野外音楽フェスが、人口約8千人の町にきて12年目。湯沢の自然に魅了された都会のロックファンたちが、森林散策用の木道づくりを手伝うなど、フェスをきっかけにした人間関係が地元に定着しつつある。 苗場旅館組合の宿泊施設76軒(計約5千人収容)には元日早々、フジロック期間中の宿泊予約の電話が鳴りはじめる。1、2月中にはもう満室状態だ。苗場観光協会長のロッジ経営梅沢英夫さん(49)は「12年目ともなるとリピーター客が多い。『今年も来たよ』と、まるで家族のようだ」と話す。 12年前のフジロック誘致時、地元には反対意見も根強かった。ロックファンに不良的なイメージを持つ人たちもいて、旅館前にロープを張ったり、子どもを県外に預けたりする住民もいたという。「ところがフタを開けてみると、ゴミの片づけなど客のマナーが非常に良かった」と梅沢さん。 フジロックをきっかけに湯沢にほれ込み、音楽以外の目的でやってくる都会人も少なくない。観光協会メンバーらが2002年に始めた「苗場インデペンデンスボードウォーク」が好例だ。 苗場スキー場ふもとにある浅貝川沿いの森林に、縦20センチ、横2メートルのカラマツの板が延々1.4キロつながる。「大好きよ湯沢」「自由ってスバラシイヨ」――。こんなメッセージが書き込まれた板も。もともとは、車いすで森林散策できるよう米コロラド州の試みを模範にし、フジロックとは無関係に地元がつくった遊歩道だった。今や、各ステージ間を結び、「音楽と自然の調和」をうたうフェスの代名詞になっている。 地元やフジロックのファンサイトから募られたボランティアが、古くなった板を補修するためのキャンプを年4、5回張る。18日のキャンプに参加していた東京都武蔵野市の医療機器プログラマー岡田和正さん(35)と旬子さん(36)夫妻は、フジロックファンのオフ会で知り合い、キャンプを縁に結婚した。「苗場にかかわっている感じがする」と、毎年夫婦で汗を流すという。 このボランティア活動のNPO化を目指すため、地元の浅貝町内会の師田富士男さん(59)たちは昨年10月、「ボードウォーク協議会」を立ち上げた。師田さんは「アリ一匹が行き来することまで配慮できるようにつくった道。フジロックが縁になった人々とともに育てたい」と話している。(服部誠一)
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