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大地震から琵琶湖守れ 専門家ら、下水道などの対策訴え

2011年3月25日

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職員らが屋上に避難する中、津波にのみ込まれた仙台市の南蒲生浄化センター=11日、仙台市提供

 東日本大震災の被災地では、救援物資を運ぶトラックや土木作業車だけでなく、バキュームカーも応援に入っている。現地では下水処理場が津波に直撃されるなどの被害を受け、市民生活に深刻な影響を与えているという。琵琶湖西岸断層帯などを抱え、県内でも大規模地震が発生する恐れがあり、下水道が寸断されると汚水が琵琶湖に流れ込む可能性がある。「近畿1400万人の水がめ」とされる琵琶湖を守るため、専門家らは対策の必要性を訴えている。

 沿岸部が壊滅的な被害を受けた仙台市。南蒲生浄化センターも津波に襲われ、約100人の職員らは管理棟屋上に避難し、自衛隊ヘリに救助されたが、施設での汚水処理は現在もストップしたままだ。

 22日、滋賀県環境整備事業協同組合のバキュームカーなど20台が宮城県に到着した。同行した中村隆理事長によると、主な任務は処理しきれないし尿を山形県に運ぶこと。「沿岸の下水道はどこも壊滅的な状況だ」という。

 国土交通省によると23日現在、青森、岩手、宮城、福島、茨城、埼玉の6県で計44カ所の下水道施設が機能停止し、業界を挙げて救援活動に乗り出しているという。

 背景には、1995年1月に起きた阪神大震災での教訓があるという。神戸市では、機能停止した下水処理場に家庭排水が流れ続け、近くの運河を締め切って汚水をためる緊急措置を取った。市では消毒剤を使って処理したが、規制値を超える汚水が海に流れ込んだ。

 被害拡大を防ぐため、下水道が普及している地域にもバキュームカーを走らせ、仮設トイレなどにたまったし尿を集める必要がある。2004年10月の新潟県中越地震では、他県の応援を含め約1500台が動員されたという。

 下水道は、各家庭で処理する合併浄化槽と比べ、いったん壊れると復旧に手間取ると言われる。旧建設省の土木研究所下水道部長などを歴任した大阪経済大の稲場紀久雄教授は「下水道は地震の少ない欧州で発達した。宅地内の配水管など枝葉の部分が壊れやすいことも留意すべきだ」という。

 一方、滋賀県内の下水道普及率は昨年3月末現在で85.4%と全国7位で、多くの家庭に水洗トイレが設置されている。汚水の大部分は、各地の浄化センターで処理され、琵琶湖に流される。

 県は04年、震災時などに無償でバキュームカーを派遣してもらう協定を同組合と結んだ。ただ、組合傘下の21社が所有するのは約160台で、県内の汚水処理の1割程度を担うのみだ。緊急時には、県外から支援を受けられる可能性もあるが、中村理事長は「市町ごとに2台ぐらいは災害時用に配備されるべきではないか」と提言する。

 下水道が専門の立命館大学の山田淳教授の試算では、県内の下水道が全面停止すると、琵琶湖での汚染の度合いを示す化学的酸素要求量(COD)が1.6倍に増えるという。実際には、周辺人口の多い南湖の表面に汚水がたまり、それが瀬田川に流れ込む可能性がある。山田教授は「震災後は水洗トイレや台所の使用を控え、風呂を2日に一度にするなどの市民の協力も必要で、ふだんから周知徹底させることが重要だ」と訴える。

 阪神大震災後、国は下水道施設の耐震基準を厳しくしたが、県内では普及率が高い分、施設整備のコストが膨大となり、耐震工事はまだ終わっていないのが現状という。

 神戸市の運河で起きた事態が琵琶湖でも発生すれば、病原菌の流行など二次災害の危険もある。稲場教授は「バキュームカーの態勢づくりなどで、関西広域連合の枠組みも活用し、下流府県も含めた市民のコスト負担も検討すべきだ」としている。

 こうした指摘に対し、県の正木仙治郎・琵琶湖環境部長は対策の遅れを認めつつも、「防災訓練にバキュームカーも参加してもらうようにしたい。また、平時から県民に危機意識を持ってもらえるよう対策を講じたい」と話した。(飯竹恒一)

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