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歯磨きカバと死別、誓い新た 宇都宮動物園・西田さん

2010年9月2日

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大きな口を開けて歯磨きをしてもらうワタル=2008年6月、宇都宮動物園

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獣舎の前で手を合わせる西田さん=宇都宮動物園

 宇都宮動物園(宇都宮市上金井町)の飼育員西田純さん(24)は、高校時代にボクシングに打ち込み、プロテストにも合格したという経歴を持つ。入園後も、培ったひたむきさで飼育に取り組んできたが、先月、相棒だったカバのワタルと死別するという悲しみを体験した。飼育員として「死を無駄にはしない」と決意を新たにする。5日には同園でお別れ式が開かれる。

 西田さんは福岡県出身。九州国際大付属高校時代にボクシングに打ち込み、3年の時にプロテストに合格した。一時期はボクシングで生活しようとも考えたという。

 しかし、動物が好きだった西田さんは、「動物を通じて、子どもたちに愛情を伝えたい」と飼育員の道を選んだ。小さいころ、落ち込んだ時にペットの亀を見ながら元気が出たこともあった。

 高校を卒業後、2年間、専門学校に通い、2007年に同園へ。最初に任された動物がカバのワタルだった。毎年の「虫歯予防デー」では、大きな口をあけて、子どもたちに歯を磨いてもらうユーモラスな姿が人気を集め、「歯磨きカバのワタル君」と親しまれていた。

 ボクシングで培った忍耐力や体力は、飼育の現場でも生きている。週ごとの掃除がそのひとつだ。カバのプールの底に沈んだふんは80キロにもなる。これを運び出した後、デッキブラシで汚れを落とし、消毒する。1時間以上かかる重労働だ。「体力と忍耐力の面での経験が役に立っています」と西田さん。

 人と話すのは苦手だったというが、ワタルを見にきた来園者に説明をするうちに「人と話すことも楽しくなった」という。「愛敬のあるワタルだからこそ、たくさん伝えたいことがある」

 先月18日の未明、西田さんが見回った際には元気そうに見えたという。数日前から食欲がなく、おなかにガスがたまり、薬を飲ませるなどしていた。「これからが頑張りどき。頑張れよ」と声をかけた。しかし、その日の朝、ワタルは息を引き取った。

 変わり果てた姿が信じられず、しばらくは何も考えることが出来なかったという。「ずっと接してきたのに気づけなかった」と悔しさが募った。

 お別れの会を前に、西田さんは「ワタルの死を無駄にしないためにも、動物がどんな状態で、どんな気持ちかをすぐ理解できるような飼育員になりたい」と決意している。(緒方雄大)

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