ここから本文エリア 裁判員、公休使って参加? 企業規模で休暇制度に差2010年8月22日
裁判員に選ばれたが、安心して仕事を休めない――。先月、徳島地裁で裁判員を務めた会社員の男性は公休を使って参加した。社員数の少ない中小企業では裁判員のための有給休暇の制度化が進んでおらず、同じようなケースは他県でも起きている。最高裁は特別休暇導入の必要性をPRするが、法的な定めはなく、「義務化が必要」という声が上がっている。 「欠勤扱いにならないように、国も考えてほしい」。7月12日、徳島地裁の記者会見場。6日間に及ぶ強盗殺人未遂事件の裁判を終えた会社員の男性(46)は疲れた顔で言った。 男性は、県内にある従業員数約10人の事業所に勤めている。今年5月、地裁から呼び出し状が届き、もし裁判員に選ばれたら仕事はどうなるのか心配になった。上司からは「前例がない。3日間は通常の公休を充てて、残りは欠勤扱いになる」と言われた。管理部門が決めたという。 ところが、裁判から1週間後に改めて上司から話があった。「欠勤分は出勤扱いに変わった。今回はそうなった。その都度検討するそうだ」。少しほっとしたが、公休を使った3日間の扱いは変わらない。大企業や役所には裁判員のための特別休暇があり、「公平ではない」という思いが今もくすぶっている。県内でも、阿波銀行(本店・徳島市)には「裁判員休暇」という有給休暇の制度がある。「公の業務であり、裁判員の精神的負担も考慮した」(担当者)という。 裁判の後、男性は朝日新聞の取材に「裁判に参加するのが義務なら、会社には送り出す義務がある。安心して休めるように、裁判所からも会社に求めてほしい。今のままだと裁判員は大企業の人ばかりになるかもしれない」と話した。 こうした声は、福岡でも上がった。「選ばれたことを職場に伝えると『欠勤扱いにする』と言われた。国からの配慮があるといい」。福岡地裁小倉支部で7月にあった強盗殺人事件の裁判で、補充裁判員を務めた会社員の男性(24)は記者会見でこう語った。 徳島県内の約1万社が入る県商工会連合会の担当者は「中小・零細企業の経営者にとって、1週間近く仕事を抜けられると人繰りが難しくなる」と話す。 市民団体「裁判員ネット」(東京)の代表理事、大城聡弁護士は「中小企業は従業員が裁判員になってから対応を考えるのが現状。景気が悪く業績が苦しい中、就業規則の改善まで手が回らない」と指摘。その上で「パートや非正規社員など様々な雇用形態がある中で裁判員制度を支えるために、特別休暇の義務化を検討すべきだ」と話す。(徳永猛城)
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