|
ここから本文エリア 現在位置:asahi.com> マイタウン> 北海道> 記事
らいらっく文学賞新審査員辻仁成さんが語る2001年02月23日
朝日新聞北海道支社が全国の女性から募る懸賞小説「らいらっく文学賞」の審査員の一人に、今年から北海道にゆかりの芥川賞作家、辻仁成(ひとなり)さん(41)が就くことになった。作家のほかに音楽家・映画監督・脚本家としても活躍中の同氏の紹介と、応募者への助言、励ましの言葉などを聞いた。 (高橋 賢司) 父親が転勤族だった辻さんは、小学生の時に福岡から帯広に移り、中学生の途中までを過ごした。その後、函館に引っ越して高校卒業まで。今は超多忙だが、「一番多感な時期を過ごした北海道に愛情があり、ゆかりある者としてお手伝いしたい」と、審査員を引き受けた理由を話す。「北海道の女性の多くの人に書いて欲しい」と期待している。 応募者への助言として、小説を書くうえで何が大切なのかについては、「最初の、これを伝えたいという気持ちが大事。その初期衝動に揺さぶられた小説、その人だけにしか書けない作品をぜひ書いて欲しい。そういう作品を選者としても読んでみたい」という。 青函連絡船が消えるころの函館の刑務所を舞台にした小説「海峡の光」で芥川賞を受賞したのは1997年1月、37歳の時だった。「子供のころから小説家になりたいという思いがあり、高校生ぐらいから書き始めた」 辻さんの作品は、99年にフランスの伝統ある文学賞「フェミナ賞(外国小説部門)」を受賞した「白仏」など、国際的にも評価されている。「海峡の光」も近くフランスで刊行の予定だ。 また、少年時代を描いたエッセー集「そこに僕がいた」の収録作品は、中学校の国語の教科書にも載っている。辻さんは、どんなに忙しくても毎日、机に向かって書くことを基本にしている。「食事やおふろ、睡眠を取るのと同じように、書かないといられない感じです」 名前の「つじ・ひとなり」は作家・詩人の時、ミュージシャン・映画監督などの時は「つじ・じんせい」を名乗る。 音楽は、ロックバンド「ECHOES」で活動後、ソロで続けていたが、最近になって新バンドを結成し、3月にはコンサートを予定。映画監督にも挑戦しており、監督2作目で原案・脚本・音楽も担当して函館で撮影した作品が「ほとけ」。今年のベルリン国際映画祭パノラマ部門に招待された。昨年夏には、テレビの連続ドラマの脚本にも取り組んだ。多彩な芸術活動を通じて磨いたセンスを審査にも生かしてくれそうだ。
マイタウン北海道
|