■国の管理下 節約過酷/公共料金軒並み値上げ、修理も「お伺い」・・・
約600億円という巨額の負債を抱える夕張市が、自治体の倒産にあたる「財政再建団体」に移行することを決めた。国の管理下で財政立て直しに取り組むことになる。財政再建団体とは何か。移行後の市民生活はどんな影響を受けるのか。
■Q&A ――「自立は50年以上」先か
Q 夕張市が財政再建団体に転落することになったというけど、どうなっちゃうの?
A 企業でいえば、倒産に値するほどの多額の赤字を出して、自分の力ではもう立て直せません、と白旗を挙げたってこと。これからは、国の監視の下で、財政を立て直していくんだ。
Q 半人前みたいなものか。これからは、はしの上げ下げまで、親=国に言われるわけ?
A それはそれは大変な話なんだ。夕張市は国と道の指導を受けて財政再建計画を立てることになるけど、14年前に財政再建団体になった福岡県の旧赤池町(現・福智町)の例で説明しよう。ここは夕張市と同じ。炭坑の閉山で税収が激減した町なんだ。
■職員給与減額
Q 住民はどうなる。倒産会社の社員みたいに貧乏になっちゃうのかな。
A 赤池町の公共料金は軒並みあがったんだ。水道の基本料金が12%、町営住宅の家賃やプール、野球場の使用料は1〜2割程度、汚水処理料は6割値上げされた。し尿処理代はほぼ倍になった。70歳で4200円もらえた敬老年金は2千円に削られたんだよ。
Q ひどいね……。
A もちろん、町も節約に節約を重ねた。職員数は同規模の自治体の87%程度に減らされた。町長は運転手付きの公用車を廃止、自分で自家用の軽トラックを運転した。陥没した道路は職員が自分で補修した。町職員の給与も県内で最低の水準に落とされた。夏に役場が40度近くになっても、新しいクーラーを買えなくて。気分が悪くなる職員が続出した。町内の企業から中古品をもらってやっとしのいだんだ。
Q 自分の判断では何も出来ないの?
A 国などからの補助金がつかない単独事業は原則廃止。なにせ町長が町営プールの水浄化機を国に無断で修理したら、後から「今後は国と協議する」と始末書を書かされたんだから。修理代は10万円だったんだけどね。
■単独事業廃止
Q そんな惨めな「財政再建団体」って、これまでいくつの自治体が転落したの?
A 「地方財政再建促進特別措置法」が55年にできてから、今までに、2県と882市町村が財政再建団体の指定を受けた。道内では50〜60年代を中心に約70市町村が指定された。最後の指定は69年の渡島支庁福島町、最後の解除は73年の後志支庁喜茂別町。今はゼロだよ。
Q そもそもどういう状態になったら再建団体になるの?
A 税収や地方交付税といった普通に自治体に入ってくるお金の総額を「標準財政規模」と言うんだ。夕張市は約45億円だね。その額の一定割合以上の赤字を単年度の収支で出した場合に財政再建団体になる。夕張市の場合は約9億円の赤字がデッドラインだった。
Q 夕張市はいつ財政再建団体に指定されるの?
A まず赤字の額を確定させなくてはいけない。負債が600億円近いから、赤字額もそのぐらいになると思うよ。並行して国や道の指導を受けながら、厳しい内容の財政再建計画を作る。国に認められるのと同じ時期に指定される。今年中に指定されるかどうか、微妙だね。
Q いつになったら一人前に戻れるの?
A 普通は10年ぐらいの再建計画を立てるんだけど、それで済むかどうか。福岡県旧赤池町の場合、約32億円の赤字で指定され、12年の計画を立てた。夕張市の赤字は、旧赤池町の20倍近くだから、単純計算すると240年。それは極端な話としても「50年以上かかるのではないか」という人もいるね。