|
ここから本文エリア メード in いわて
手間ひま有機農業 Guri’s Farm2009年10月22日
濃い甘みのニンジンにシャキシャキのゴボウ。これらで作った天ぷらは、滋養と生命感にあふれ、口の中には、おいしいワインを含んだ時のように、深い味わいが残る。 岩手山と姫神山を眺める、盛岡市郊外の0・62ヘクタールの農場。里芋に小松菜、ネギにニンニク……。さまざまな作物が、列をなす。会員制の農園「Guris Farm」代表の江崎澄雄さん(54)は「家庭菜園みたいでしょ」。 この農園の一番の特徴は、農薬と化学肥料を一切使わない有機農業だ。その代わり、手間ひまがかかる。虫が付かないよう、野菜にはネットをかぶせ、それでもつく虫は、先をとがらせたはしやピンセットでつまみ取る。化学肥料は、栄養素の計算がしやすいけれど、「味が落ちるから」と堆肥(たい・ひ)を使う。雑草取りも一仕事。農薬や化学肥料を使う場合に比べると「収量は半分くらいかな」。 それでも有機農業にしたのは、少ない種類の作物を育て、糖度や形など、求められる規格に合わせた作物を安定的に供給する農業が「収量第一主義」に見えたから。 「いろんな野菜が作りたかったし、まじめに手間ひまかければ、おいしいものができるんですよ」 会員になりたい人には、農場を訪れてもらう。アスパラの天ぷらや、芋の子汁に枝豆のチャーハン……。取れたての野菜を農場脇のプレハブで料理してふるまう。 「やっぱり味をわかってもらわないとね。レシピに味は書いてないでしょ。味覚は味わって記憶にとどめるしかないから」 1年で育てる野菜は50種類近く。妻の秀姫(ひで・き)さん(47)と2人で種まきから収穫、配達を手がける。会員には毎週、取れたての野菜を配達する。3人世帯なら、盛岡市内で月1万2千円。会員数は約40世帯。補助金は受け取っておらず、会費が収入のすべて。採算ラインは100世帯ほどだが、2人ではとても作りきれない。澄雄さんは「永遠に採算はあわないんじゃないか」と苦笑する。 農業を始めたのは10年前。それまで澄雄さんは仙台で塾を経営、2人に農業の経験はなかったが、家庭菜園をしているうちに「猛烈にやりたくなった」。独学で始めた有機農業だった。 農園の赤字は、アパート経営で補っている。でも、有機農業を事業として成り立たせたい。今月下旬、自宅近くに有機野菜レストランを開いて事業の多角化を目指す。
マイタウン岩手
|