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患者の選択を手助け 戸畑利香さん

2009年11月22日

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戸畑利香さん=鹿児島市松原町の相良病院

「患者や家族に寄り添い、その人たちが気持ちを整理できるように対応したい」
 女性の20人に1人がかかるとされる乳がん。不安に思う患者の相談に親身に応じ、安心感を与える。乳がん看護認定看護師としてそんな理想の姿を追い求める。
 乳がんの告知を受けた患者は例外なくショックを受ける。そしてショックを抱えたまま、いくつもの重大な選択をしなければならない。抗がん剤を使うか、乳房をすべて摘出するか、一部にとどめるのか――。
 そんな時、医療用語を分かりやすく説明したり、図を描いたりして手術内容を丁寧に伝え、理解してもらうよう努めている。医師との連携も不可欠。男性医師に直接要望や相談をしにくい患者も多い。「だから、その橋渡し役でもあるんです」
 認定看護師は、日本看護協会(東京都)が設けた専門職。救急看護や訪問看護など19分野がある。戸畑さんは06年に誕生した乳がん看護認定看護師の一期生20人の一人で、いまも県内唯一の存在だ。
 鹿屋高校を卒業後、大学で学び、関東の総合病院で勤務。00年から年約500件の手術を手掛ける乳がん治療専門の相良病院(鹿児島市)で働き始めた。
 認定看護師を目指したのは病院の勧め。05年10月から千葉大の研究指導センターで学んだ。研修は半年間と長期にわたる。家庭を持つ人や看護師の数が少ない病院では研修を受けたくても受けられないのが実情。せっかくの機会だから、と決意した。
 特にカウンセリング技術を用いたコミュニケーション法の研修が糧となった。研修生同士がペアを組み、会話をして録音。それを聞きながら「この時は話をどう返すべきだったか」「どの程度、間を持たせた方が良かったか」などを話し合う。「専門知識もですが、患者さんとの接し方をじっくり考えたことが大きかった」。看護現場に立つ今、そう実感する。
 認定看護師は周りの看護の質を高めるのも役割の一つ。院内で勉強会を開き、同僚看護師に最新の治療情報などを説明する。「患者さんがだれに質問しても、同じように答えられるのが理想」。患者とのコミュニケーションに悩む同僚にはアドバイスを送り、相談の場に同席することもある。
 自身に迷いがないわけではない。気丈に振る舞っていた患者が急に落ち込んだり、泣いたりすることもある。どう接して良いか分からず弱気になるときもあるが、「一番つらいのは患者さん。聞く側が落ち込んでいてはいけない」と気持ちを奮い立たせる。
 認定取得から約3年。患者のために看護師が何かをできるわけではない、との思いが強くなった。
 「患者さんがセルフケアできるようになることが大事。たくさんの選択肢の中で、最終的に自分で決定したという経験がその後の人生で何があっても、同じように自分で決められることにつながると思うから」
 ちょっとだけ患者の背中を押してあげる。自分の一番の役割はそんなことだと思っている。

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