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ここから本文エリア 20億円負担受け入れ 佐渡−羽田空路開設2009年11月10日
泉田裕彦知事が実現を目指す佐渡―羽田間の空路開設をめぐり、知事から20億円超の地元負担に応じる意思があるか回答を求められた佐渡市は9日、負担に応じる方針を市議会側に示し、認められた。これを受け市は13日にも県に回答するが、県議会内の反対は根強く、実現へ動き出せるか不透明な情勢だ。 ◇ ■県議会内の反対根強く 高野宏一郎市長はこの日の市議会全員協議会で、初期投資の地元負担分約20億円と運航後の年間赤字の市負担分約2億円を受け入れる考えを説明し、了解を求めた。 全員協議会は非公開とされたが、出席者によると、市議会側は「空路開設へ向け議会も一枚岩で動いてきた」として受け入れた。 また、市は、佐渡空港の滑走路を現在の890メートルから2千メートルに延長する問題に絡み、県側から用地買収に必要な額や取得期限、取得できなかった場合の対応を明示するよう求められていることも明らかにした。だが市長は具体的な考えを述べなかったという。 2千メートル化するにあたり同意が得られていない地権者は9人いる。市議会は10月、地権者の求めに応じ、「(空路開設に向けて)本気で取り組む証し」として全市議による「連判状」を作成した。竹内道広議長は「佐渡空港は県営なのだから、本来ならば知事自らが長靴をはき、交渉の先頭に立つべき問題だ。こうした努力もくみ取ってほしい」と強調する。 だが県議会最大会派の自民党県議団は、佐渡―羽田便に否定的だ。開設を認める「絶対条件」として滑走路2千メートル化を挙げている。 同党県連政調会長の柄沢正三県議は「滑走路が890メートルでは絶対に黒字にならない。2千メートルにできない限り、県民全体の利益を考えても、佐渡―羽田便を容認することはできない」と話す。地権者の同意についても「口約束ではなく、地権者全員と買収価格で折り合った上で、全員が買収に同意する印を押すなど、具体的な裏付けが必要だ」としている。 ◆ ◆ ◆ ■佐渡市、「決断」の背景は 県と佐渡市の初期投資額は計43億円に上り、航空機を飛ばしてからも赤字になることが確実視されている佐渡―羽田間の空路開設構想。赤字負担の覚悟があるのか知事から問われた佐渡市は9日、その覚悟を示した。決断のボールは、県と県議会に投げ返された格好だ。佐渡市が覚悟を決めるまでに何があったのか。 ◇ ■〈市議会〉街の「先細り」懸念 全県議訪問の攻勢 「それにしても県議会の反対が強い。何とかならないか」 9月29日、佐渡島。トキ2次放鳥の記念式典を前に、泉田裕彦知事が切り出した。 そばにいたのは佐渡市の高野宏一郎市長と同市議会の竹内道広議長だ。「知事は県議会工作を要請しているのだと思った」。こう振り返る竹内議長はこの時、「やれることはやる。知事が本気になれば、県議会だって動きます」と念押ししたという。 「佐渡―羽田便を確保できるようにしたい」と泉田知事が表明したのは約2年前、07年12月の県議会だった。2010年10月に羽田空港の4本目の滑走路ができるのに伴い、発着回数は年11万回増える。ここに、懸案だった離島空路を入れ込もうという考えだった。 だが今年4月、有識者からなる県の検討委員会(委員長、根本敏則・一橋大教授)は、同便について「赤字になる可能性は高く、収支改善策を示した上で県民の理解を求めることが必要」とする報告書を県に提出。現在の890メートルの滑走路を2千メートルに延長して収支を改善することが必要だと指摘した。現在の滑走路では、大勢の客を乗せられる航空機は離着陸できず、復路(佐渡―羽田)の座席数が、往路(羽田―佐渡)の50席の半分程度に制限されてしまうためだ。 6月の県議会では、予想される高負担に対し、県議の反発が相次いだ。県は当初、9月議会までに調査費の予算化が必要だとしていたが、関連予算案の提出を12月議会に先送りした。それでも泉田知事は9月議会でなお、「観光など産業の活性化だけでなく、島民の様々な不利益の解消という社会政策の側面もある」と主張し、開設への強い意欲を示した。 トキ2次放鳥の現場で知事から言われた「何とかならないか」を受け、市議会は10月中旬、各派代表者会議を開き、28人の全市議が九つの班に分かれ、53人の全県議の自宅を訪問し、空路開設に関する予算案に賛成してもらえるよう攻勢を掛けることを決めた。また、市が初期投資だけで20億円超となる負担を受け入れるなら、それに賛成することも決めた。 泉田知事は後押しするかのように10月下旬の記者会見で、「地元負担についてどう考えているか」と、佐渡市に意思確認のボールを投げた。 県観光局によると、島の観光客は91年度の約123万人をピークに年々減り、08年度には半分以下の約59万6千人にまで落ち込んだ。「今を逃したら永遠に空路はできない。先細りになるだけだ」。市議会野党とされる会派も含め、市議会が異例の全員一致で赤字負担に賛同することになった背景には、こうした危機感がある、と議会関係者は解説する。10月に前原誠司国土交通相が「羽田の国際ハブ空港化」を表明したことで、佐渡便参入の可能性が不透明になったことも危機感をあおったという。 島民の反応はさまざまだ。「全国の離島で空路がないのは佐渡だけ」「離島のハンディを克服するためには首都圏への直行便が不可欠だ」と熱望する声がある一方、「ないよりはあった方がいい」という冷めた反応も少なくない。「空港ができると一体どうなるのか。将来のビジョンが具体的に描かれなければ、巨額の税金投入に説得力がない」という声も上がる。 昨年9月、新潟―佐渡間を就航していた旭伸航空が撤退し、定期便がなくなった佐渡空港。現在は職員4人がパトロールや気象観測、清掃など維持管理業務に当たるだけで、閑散としている。 ◇ ■市財政、「20億円」耐えられるか 佐渡―羽田便の開設に必要な佐渡市の初期投資額は20億円超とされる。開設後の赤字負担も覚悟するが、果たして負担に耐えられるのか――。 市財政の特徴は、一般会計の歳入の半分を、国からの地方交付税が占めることだ。09年度一般会計当初予算は総額約408億円。地方交付税は歳入の49・3%を占めた。 財政の健全度を示す実質公債費比率は16・2%。「黄信号」とされる「25%以上」にはなっていないが、今後、合併特例の適用期間が終了する2014年度以降、交付税額は段階的に減る。10年後に市の歳入が約100億円減るという試算もある。 「20年度までに財政を適正規模に変える」。こうした目標を掲げた市は6月、庁内に市将来ビジョン策定本部を設置。10年間で市職員を700人削減して人件費を減らすことや公共施設の統廃合などのリストラ案を年内に取りまとめることにしている。 年間約30億円を支出していた公共下水道の整備も、新規の事業は事実上ストップされ、合併浄化槽の設置などに切り替えられる公算も大きい。市民は「痛み」を強いられる状況だ。 市の財政当局は「将来ビジョンのもう一つの柱である成長戦略の主軸となるのが交通インフラの整備。つまり羽田便だ」と強調。市議会の竹内議長も「佐渡市の財政規模であれば、20億円超の支出は十分に可能。例えば合併特例債や地域振興基金の活用が可能かなど検討を進めるべきだ」という。
マイタウン新潟
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