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カワハギ養殖 熱視線

2009年11月09日

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県農林水産研究センター水産試験場で育ったカワハギ=佐伯市

 販売価格の低迷や燃油高騰にあえぐ魚の養殖業者の経営安定対策として、県がカワハギの養殖技術開発に乗り出した。これまではブリの養殖いけすの網の「掃除役」として育てられてきたが、その身は「フグより美味」ともささやかれる。高値で取引される半面、病気への対処法など未知の部分が多く、いかに出荷までの生存率を高めるかが課題だ。(奥正光)

 カワハギ養殖は、いまや大分をはじめ、熊本、長崎、愛媛など各県が技術確立を競う「注目株」。

 県農林水産研究センター水産試験場(佐伯市)で今月5日、体長約10センチに育った約3千匹が養殖業者に配られた。えさの量や生存率のデータを提供してもらう試験養殖のためだ。

 漁船で駆けつけ、稚魚を積み込んだ同市蒲江の漁師後藤政治さん(45)は「カワハギは単価が下がってもブリより高い。(生存率は)3割残れば損しないぐらいだが、試験場に研究してもらい、5割や6割になるよう頑張ってもらいたい」と期待する。昨年から養殖いけすでカワハギを育てているが、病気などで死ぬ魚が多く「カワハギは難しい」とやめてしまう業者もいるという。

 県は06年度から、ブリなど養殖魚の価格低迷をきっかけに稚魚生産を本格化。今年度は養殖技術開発事業でえさの量や生存率などのデータを集め、早期の技術確立をめざす。全国に先駆けて安定的に育てる技術を確立すれば、県内業者の所得向上につながるからだ。県内では養殖魚生産量の約8割をブリ類が占めるといい、魚種を増やし価格下落による経営悪化のリスクを分散する意味もあるという。

 同試験場の大石隆史・主任研究員は「原因不明の死亡も少なくなく、まだ手探りの状態。たくさん流通すると値が下がるため、全国に先駆けて技術を確立したい。時間との戦いです」。

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 ライバルは少なくない。06年度から稚魚生産に取り組む熊本県水産研究センター(同県上天草市)は8月、業者に体長1センチ以上の稚魚計約2万7千匹を配った。養殖研究部は「稚魚生産ではまだ個体の大きさにばらつきがあり、養殖するうえでも病気になった時の薬がない。1年ほどで出荷でき値段もいいので新魚種として有望で、1年でも早く技術を確立したい。その気持ちはほかの県も同じです」。

 大分などと同様に養殖が盛んな愛媛県。同県農林水産研究所水産研究センター(同県宇和島市)は昨年、カワハギの稚魚約5万匹を生産したが、今年は孵化(ふ・か)率が悪く約5千匹にとどまった。養殖推進室は「まだ養殖技術に関するデータが少ない魚。業者には(生存率が)50%いかないといわれることもある。短期間で大きく育てるえさのやり方も課題になっている」と話す。

 同県の担当者は、大分、熊本、長崎、宮崎、三重の各県に呼びかけ、今月下旬に初めての種苗生産技術開発交流会を開く予定。「みんなが狙っていて技術を提供するのが難しいところ」(関係者)と他県をライバル視する声もささやかれるが、短期間で技術を確立するため、意見を出し合い問題点や解決策を考えるのが目的だという。

 ◆カワハギ:白身は歯ごたえがあり、刺し身、煮付けなど料理もさまざま。特に珍味として知られる肝(肝臓)は「海のフォアグラ」とも呼ばれ、養殖の方が大きいと評価が高い。トラフグと違って無毒。ハゲと呼ぶ地域もある。

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